$ 0 0 大阪市阿倍野区で過ごしていた、あの頃。 今思い返しても、どうかしている出来事ばかりだったと思う。 もう戻れない、愛しい記憶です。 _____________________ コツリンが亡くなってから数日後。 大阪のみんなは、コツリンが住んでいた部屋へ、掃除と片身分けに来ていた。 パソコン本体やDSなど…コツリンが生前使っていたものの一部を、片身としてみんなで引き取ることになったのである。 自分たちが出会った後の写真ならまだしも、共に過ごした思い出の一切無い、コツリンが地元で過ごした中学高校の頃の写真を引き取らなければならないことになってしまった。 捨てるに捨てられないし、これはかなりいらない片身である。 押し付けあいの末、西野さんが引きとることになった。 そんなわけで、引き取ってきたものを持って南和マンションのイトウ家に移動したみんなは。 つくづく、こんな人たちを残して先に死ぬべきではない。 試しにコツリンが好きだったヴァンヘイレンのアルバムのタイトルを入力してみたところ、一撃でパスワードは解除されてしまったのである。 こうしてコツリンは、プライベートなメールや秘密の画像も、全てこの人たちに覗かれてしまったのであった。 コツリンが2次元の女性しか愛せなくなってゆく過程が、メールには克明に残されていた。 前田さんは、コツリンのmixiアカウントでゲームアプリ「サンシャイン牧場」にログインした。 色んなマイミクの、野菜を片っ端から盗んでおいたのである。 恋愛ゲームの中で、コツリンの彼女である寧々ちゃんは、彼からの連絡を待ち続けていた。 コツリンが亡くなっている事を、彼女は、永遠に知ることは出来ないのである。